虚飾の焼却って知ってますか?
 15世紀、イタリア?
 そう、ジロラモ・サヴォナローラ。まぁ別に、そんな昔の話はどうだって良いですけど。
 あなたが言い出したんでしょう。
 とにかく、ずっと僕は、まさに虚飾そのものだったんです。
 だから、私をここへ?
 それは、恐かったから。
 私だって、そうだった。
 貴方に会うのが恐かった。貴方を見るのが恐かった。貴方に触れるのが恐かった。
 けれど一番恐かったのは、恐いと思う自分自身。きっとそれは、貴方も同じだったのでしょうね。
 私とあなたは、同じ?
 だから、それを殺して、剥がして、落として。
 貴方みたいに、綺麗な形になれなくて。
 いつの間にか、真っ白。
 ここでなら、貴方に会えますか?


 ありのままの自分、なんて。そんな陳腐な台詞を言うつもりは無いけれど。
 飾って、偽って、たとえそれが虚ろなものでも。
 虚飾のあなたのままでいい。
 あなたと私は同じ、でしょう?
 この場所だけがあなたじゃないわ。
 ずっと、あなたの傍にいる。



 あとがき